手湿疹(いわゆる手荒れ)でお困りの方へ

かゆみやひりひり感を伴う手荒れについては、保湿剤のみでは改善しにくいことがあるため是非ご相談ください。

手湿疹(いわゆる手荒れ)とは?

外来性の刺激物質や接触アレルゲンが皮膚に接触することによって発症する湿疹です。炎症を伴うとかゆみ、ひりひり感を自覚します。男性より女性に多く、最も頻度の高い原因は接触刺激因子ですが、食物などのタンパク質抗原が付着することによるアレルギーが関与していたり、アトピー因子や原因が明らかにできない場合もあります。

左図:健康皮膚;右図:乾燥皮膚

皮疹の形態によりどのように分類されますか?

下記の(1)~(5)に分類されます。

写真は(2)のタイプです(左は初期、右は進行している状態です)。

(1)角化型手湿疹:境界明瞭な厚い鱗屑(剥離した角質が皮膚表面に蓄積した状態)が手の平にみられ、ときに亀裂を伴います。同様の病変が足裏にも見られることがあります。中年以降の男性に好発します。原因は不明なことが多いです。

(2)進行性指掌角皮症:指先や指腹が乾燥して荒くなり、指紋がみられなくなります。悪化すると亀裂を生じます。皮膚バリア機能の低下と繰り返す物理的・化学的な刺激が誘因と考えられます。水仕事が多い主婦や美容師、飲食店員などによくみられます。

(3)貨幣状型手湿疹:主に手の甲に貨幣大の円形の湿疹がみられ、かゆみが強いです。

(4)再発性水疱型(汗疱型)手湿疹:手の平、手指側面に両側性、対称性に小水疱が多発し、強いかゆみを伴います。小水疱は次第に乾燥して剥がれ、周囲に赤みを伴うようになります。足裏にも同様の病変がみられることがあります。夏に悪化する傾向があります。

(5)乾燥・亀裂型手湿疹:手の平、手指全体の乾燥と亀裂が特徴の慢性の手湿疹です。小水疱はみられません。冬に悪化することが多いです。

治療方法は?

原因となる接触刺激因子や接触アレルゲンを見つけ出し除去することが大切です。保湿剤で手の皮膚にうるおいを与え、かゆみやひりひり感などの炎症症状があればステロイド外用剤を併用します。症状にあわせてステロイド外用剤の強さを調整し、ステロイド外用剤の使用期間が長引くときは、副作用の出現(皮膚の萎縮や毛細血管拡張など)の可能性を懸念して免疫抑制外用剤(タクロリムス軟膏)などに変更することがあります。症状が改善すれば保湿剤のみの使用とします。かゆみが強い際には、抗ヒスタミン剤の内服薬を併用することがあります。これらの方法で改善に乏しい際には、紫外線照射装置を用いた光線療法が有効なことがあります。当院では紫外線照射装置がありませんので、その際には信頼のおける高次医療機関にご紹介いたします。

日常生活で心がけることは?

1,お薬を正しく使いましょう
皮膚にうるおいを与える保湿剤、また、かゆみや湿疹を抑える塗り薬や飲み薬は医師の指示をよく守り、正しく使いましょう。

2,刺激を避ける
木綿の手袋などを着用して、指先を直接刺激しないようにしましょう。また、水仕事の際にはその上からゴム手袋などを着用して、直接洗剤に触れないようにしましょう。

3,手を大切に
手を使いすぎるのはよくありません。炊事、洗濯などの仕事を減らす工夫をし、できるだけ手に負担をかけないようにしましょう。

4,手を洗いすぎない
何度も手を洗うと症状が悪化してしまいます。手の洗いすぎには注意しましよう。手を洗った後には保湿剤をぬりましょう。

参照・引用
日本皮膚科学会 手湿疹診療ガイドライン 2018年
手あれのおはなし(進行性指掌角皮症) マルホ株式会社 2016年4月