水虫と爪水虫でお困りの方へ

日本人の足白癬と爪白癬の有病率はどのくらいですか?

日本人の足白癬(足の水虫)の有病率は21.6%(2500万人程度)、爪白癬(爪の水虫)は10.0%(1200万人程度)と推計されています(日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019より)。日本人のおよそ5人に1人が足白癬、10人に1人が爪白癬と言われています。


年齢によってかかりやすさに違いはありますか?また、その問題点は?

高齢者(65歳以上)では、若年者に比べて有病率が高いと言われています。その理由として、高齢になれば若い頃と比べて目が見えにくくなり体も硬くなるため、足の汚れや異変に気づきにくくなり、また気付いていても適切な手入れができにくいことなどがあげられます。爪白癬が進行して爪が肥厚すると、周囲の皮膚に爪が刺さったり、靴で爪が圧迫されたりして痛みを生じ、歩行困難となることがあります。歩くことが億劫になり歩く頻度が減ると、筋肉量と筋力の低下が起こり、歩くスピードが遅くなったり杖や手すりが必要になったり転倒しやすくなったりします(サルコペニアといいます)。さらに進行すると心身の活力が低下し(フレイルといいます)、介護が必要になる可能性もあります。また、糖尿病を患っている方が足白癬や爪白癬に罹患すると、白癬による皮膚のただれや肥厚した爪が皮膚を傷つけることで二次感染を起こすこともあります。最悪の場合には足が壊死して切断することになる可能性もあります。こうした理由から、足白癬や爪白癬を早期に発見し治療することは重要です。

治療方法は?

足白癬の場合には主に外用薬で治療が可能です。一方、爪白癬の治療薬には内服薬と外用薬があります。治療効果が高いのは内服薬ですが、外用薬に比べると副作用の出現に注意して治療を行う必要があります。内服期間中は副作用を早く見つけられるように定期的な血液検査を行います。内臓に病気がある方や、若い人に比べて臓器予備能が低い高齢者においては内服治療は行わず、主に外用治療を行います。外用治療では改善しない方が一定数おられますが、分厚くなった爪を切り厚みを減らすことで、先ほど述べたサルコペニアやフレイル、重篤な合併症をある程度は予防することができると考えています。

最後に

足の健康を維持することは大切です。当院では、爪白癬において、患者さん自身で爪を切ることができない場合、保険適用で爪切りを行うことは可能です。治療方法とあわせて是非ご相談ください。